House Ag photo

House Ag

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project date

所在地 : 大阪府池田市

用途:住宅

写真:大竹央祐

3人家族と2匹の愛犬が暮らす住宅である。
計画地は、大阪府北部の緩やかな丘陵地にあり、かつて一帯を占めていた棚田の名残を留めるように北側には段々と住居やアパートが建ち並び、
南側には部分的に駐車場に置き換わりながら畑が広がり、大阪市内まで望むことができる眺めの良い敷地である。
また、敷地北側は幹線道路、南側は私道に接道しており、対比的な道と外部環境に接している。
もともとこの場所には、建主が成人するまでの間過ごした家が建っていた。
40年という歳月と共に、めまぐるしく変化していく周囲の風景に埋もれそうになりながら残っていた数少ない旧家であった。
成人後は別の郊外住宅地で長らくの生活を送ってきたが、慣れ親しんだこの場所に戻り、
友人が集い、子供や孫の拠り所となる開放的な終の住処として建て替えることにした。

計画するにあたり、
2つの対比的な道と建物の関係を再構築し、今後も続く宅地開発により希薄になりつつあるこの土地の風景を引き継ぐような建ち方を目指した。
具体的には、
愛犬が走り回れる中庭を中心に置き、
半地下、1階、2階と床レベルを設定しながら離れを含めた諸室をぐるりと配置した。
そこに、敷地北側に広がる山の稜線に意識を向ける多面屋根をかけ、その下で生活の場が展開される計画とした。
多面屋根によって天井高さやカタチが均質でないこと、
また全ての居室が天井によって途切れることのない連続性をつくることで、世代を超えた家族構成や生活の変化に長期的に対応できる構成としている。

幹線道路側から見たこの住宅は、多面屋根によるランドスケープであり、
このランドスケープのような屋根は私道側の住居の入り口付近で手が届く高さまで下がってきて、周囲の親密なスケール感に溶け込んでいく。
対比的な道と屋根との距離を調整しながら、どちらか一方との関わりに留まらないような建ち方とした。

敷地内の畑や植木、離れの屋上テラスに並ぶハーブといった植物の遷移とともに時間をかけて建物も成熟し、この場所の風景として定着していき、
かつてこの場所にあった風景に思いを馳せることができれば、とても豊かなことだと思っている。
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